間にあるもの

“Rolfing is working about relationship”

「ロルフィングというのは関係性にワークしていくものなんだ」

 

ぼくがアメリカでロルフィングを勉強していたとき、

インストラクターのRayによく言われていたのがこのフレーズです。

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自分と他者。他者と別の他者。友達と知り合い。恋人と女友達。

日本と海外。アメリカとその他外国。欧米と発展途上国。

胸郭と上腕骨。大胸筋と小胸筋。足と腕。体幹と四肢。

 

区分けされる基準や境界、ポイントが変わることで

同じものでも見え方が違ってくるのはみなさんも経験的にわかるかと思います。

ぼくがロルフィングを習っていたときには、その境界=Boundary(バウンダリー)

ということが特に大事なコンセプトになると教わりました。

 

自分と他者の間に明確な境界=バウンダリーがあれば違いを認識できるものになり、

「同じ部屋の中にいる二人」ではなく、「自分」と「他者」という理解につながるのです。

これはなかなか簡単に見えるコンセプトのようで、とても難しいものです。

基本的に人には所有欲という、本能に近い欲があるとぼくは思っています。

好きなものであればあるほど、自分のものにしたい、自分の思い通りに動いてほしいと願い、

その欲に基づいていろんな行動が自然発生してきます。

 

「同じ部屋にいる二人」でいた方が何かあっても

一緒にいるから不安も少なくなるし、

幸せや楽しさも二倍になりますから

それは良い点が多くありますよね。

ただ、それが必ずしもいい方向にばかり働くわけではないかと思います。

 

「同じ部屋にいる二人」のうちの一人が、実はその部屋から

早く出て行きたいと思っていたとします。

でも、そのもう一人は「同じ部屋にいる二人」の関係でいたい。

一緒にいる方が安心するから、心強いから、寂しくなくなるから。

出て行きたい一人は、相手のそういう思いがなんとなくわかるから、

出て行くのを我慢する。

ただその我慢もずっと続けていくとしんどくなり、

結局は衝突の起因になってくるのだと思います。

一緒にいたい人にとっては境界=バウンダリーは存在せず、

二人でひとつなのです。

 

きっちりとしたバウンダリーを引くということは、

お互いがしっかりと自分の足で立っているということが

ひとつ大事な要素になってきます。

「自分」という一人の人間が自分の足で立つことで、

自分が何ができるのかある程度はっきり認識できるようになります。

そうしていくと、他者との違いが自然と浮かび上がってきて

区別が生まれてきます。

「自分」と「他者」との間に空間が現れてきて、

バウンダリーが自然と浮かび上がってくる気がするのです。

 

そのバウンダリーが見えていないと、

自分というものがどこまであるものなのか、

どこまでいっていいのかわからなくなるのです。

他者と自分を隔てるものが見えないから、

自分というものを過大評価して自信を尊大にもったり、

また自分を過小評価して萎縮してしまう。

せっかく自分がすでに持っている大事なものを

自分で適切に感じてあげられないことは

すごくもったいないことだと思います。

 

ぼくがロルフィングをしていて思うことは、

そのバウンダリーを引くことがロルファーとしての

一つの大事な仕事だと思っています。

自分は施術者として何ができて、何ができないのか。

このクライアントさんのからだは何がほしくて、何がしたくないのか。

痛みがどうして在って、そしてなぜ力みと共に一緒に在るのか。

自分が治したい、痛みを取ってあげたい、といった意図を持つのではなく、

痛みとクライアントさんの「間にあるもの=関係性」を見ていくのです。

 

そのとき、ぼくは媒介者となり、フィルターになり、境界になり、

バウンダリーとなってその「間にあるもの」を理解していきます。

筋膜を触り、骨を触り、筋肉を触り、その人の感覚に触り、

「同じ部屋の中にいる二人」ではなく、

「自分」と「他者」の間にある関係性を探していくのです。

そうしていくと、今まで見えてこなかったものが見えてくる気がします。

特にロルフィングでは、その関係性がわかってくることで

自然と治癒が進んでくることがよくあります。

 

バウンダリーとしての質を高めていくことで、

より素敵なロルフィングを多くのクライアントさんと

一緒に共有できればと思います。

 

 

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