脊柱メカニクスの解説③

前回までに2回に渡って、脊柱のメカニクスについて書いてきました。メカニクス、と書くと結構大ごとに聞こえますが、要は脊柱がどのような法則の元に動くのか?ということを書いています。これが分かると、実際の治療や臨床で今まで解決してこなかった問題が解消に向かうケースもあるかもしれません。

今回はその原因となる制限をどのように取り除いていくか?また、TYPE1機能不全という、今まで触れてこなかった内容について書きたいと思います。過去の2回のブログはこちらです。

脊柱メカニクスの解説①

脊柱メカニクスの解説②

5.制限を解放していく

先のブログでも示した通り、脊柱に制限が生まれると機能不全が起き、基本的に2パターンに分類されます。その内の一つ、TYPE2の機能障害においては、前屈と後屈を使って右と左のどちらの椎間関節に制限があるかを見極めていきました。それが見つかったら制限のある椎間関節に向かってアプローチをしていけばいいわけですね。では、実際にどのような方法で上記のような制限を取り除けばいいのでしょうか。


著者のJeffはアドバンスドロルファーで、ロルフィングの学校が形になってきた1970年代より原則をまとめ上げた一人です。そのロルフィングの特性を活かしたようなアプローチを下記のような形で表現していました。


ゆっくりとしっかりした3〜5キロくらいの継続的な圧を椎間関節に与え、拳もしくは肘がこれ以上いけないくらいまで沈み込むようにしてください。その圧の下で、組織が緩んでくるのを待ってください。(椎間関節がリリースされた後に、身体が伸びて矢状面に沿って自らをまとめ上げていく直向性の影響を感じ取れるかどうかも見てみてください。)

引用元:Spinal Manipulation Made Simple ~A Manual of Soft Tissue Techniques

ロルフィングには、持続的な圧をかけていきながら内側から変化することを引き出すアプローチがあるのですが、このように上手に表現されていると理解がとても深まります。ただ押して緩むのを待つだけではなく、組織が伸び自らをまとめていくようなプロセスまできっちりと見守れるかどうかということは、施術者にとってとても大切な要素だと思います。

上記の表現の他にも、このような文章がありました。

動きを予想しようとしてはいけない。ただダンスしなさい。リリースが起きたら、関連する組織が柔らかくなって、矢状面(縦、鉛直方向)に沿って首が自らをオーガナイズして(まとめ上げて)いくのを感じていくよ。

引用元:Spinal Manipulation Made Simple ~A Manual of Soft Tissue Techniques

一見すると少しわかりにくいですが、「身体が伸びようとする方向やタイミングをこちらが期待したり望みすぎしたりしてはいけないよ、ただ一緒にダンスすればいいんだよ」、と言ってくれてるような気がします。身体自らが変化してくれるのをサポートしてあげればいい、というメッセージなのですね。


セッションしているときっとこういう方向に動くだろう、などと勝手に予想して無意識的に引っ張ってしまうこともしばしばあります。そうすると、身体の動きがシューン….となって本当に止まってしまいます。せっかく内側から変化してきてくれたのですから、それが最後落ち着くまで、まとめ上げていくまでしっかり待ってあげたいですね。


これまでの内容は、特に2個目のブログ「脊柱メカニクスの解説②」ではTYPE2の機能不全について、つまり単独の椎骨の制限について話してきました。ですが、ここからTYPE1の機能不全について書いていきたいと思います。

6.TYPE1機能不全

このJeffの本は160ページ近くあり、とても読み応えのある本なのですが、その中でもTYPE1機能不全について書かれている内容はそこまで多くありません。確認してみると、2、3箇所でのみ言及している感じでした。その中でも、TYPE1機能不全について説明している部位はありましたので、その解説を少ししていきます。


TYPE1機能不全の定義は、以前このように書きました。

  • ◼︎TYPE1機能不全=回旋と側屈が反対の方向に起きている状態。複数、グループで起きる。(前屈や後屈をしても回旋は変化せず、中立位でも残ったまま。)

つまり、グループで側屈と回旋が起きていて、しかも前屈や後屈でも中立位でも状態は変わらない、というのです。こうすると、TYPE2のような前後屈の動きで制限を見つけることは難しいです。この理由は、本文中にはこのように書かれていました。

グループでの制限がある状態で前後屈をした場合、椎骨はその回旋しているポジションを保ったままでいるでしょう。そのケースの多くは、回旋側湾症であるとされ、そのポジションを保ったままでいる原因は、より大きな筋筋膜の制限と、脊柱の湾曲に伴って形成された椎骨の変形によるものだと考えられます。TYPE1機能不全は、小さな筋肉や靭帯によって椎間関節が制限されるTYPE2機能不全とは違い、椎間関節レベルでは制限されない傾向があるのです。

引用元:Spinal Manipulation Made Simple ~A Manual of Soft Tissue Techniques
出典:Spinal Manipulation Made Simple ~A Manual of Soft Tissue Techniques

TYPE1機能不全はより大きな筋筋膜と、上図のような椎骨の変形について見ていかなければならず、前後屈などの姿勢の変化だけでは状態が変化しないのです。制限に関わる範囲が広いことと、そして椎骨の変形を伴っているために、このTYPE1機能不全の、つまり側湾症の治療が一般的に困難であるとされるのが、このあたりから推測されますね。


とはいっても、側湾症を改善したいと思っている方々は世の中に多くいらっしゃるでしょうし、自分もそういったクライアントさん達に今までセッションをさせてもらってきました。その際に役立ったアイディアはこの本からお借りしているので、次回のブログで最後にシェアしたいと思います。本当はこのブログでまとめにしたかったのですが、できませんでした。(笑)最後までお付き合いください。


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