流れの中に内在する美しさ

昨日、新宿にてセミナーを行いました。

タイトルは「ムーブメントを使った手技アプローチ」と題して、

施術の中でどういった考え方を持ち、どのように動き(ムーブメント)を取り入れながら

からだにアプローチしていくか、といった導入のもの。

多くの方々に来ていただいて多くの面からぼくが普段行っていることを

紹介させていただき、また実際に体験していただきました。

そんなセミナー中でも、そして今日から始まっている通訳のクラスでも感じるのですが、

日々、刻一刻と変わる時間、流れ、事象という要素があることで、

全く同じ流れ、同じ雰囲気の出来事は二度とは起こり得ない、

ということに改めて気付かされます。

まるで音楽のライブかのように。

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解剖学、生理学、トレーニング理論といった教科書に載っているものは、

10年前と今とでは大きく変わりません。

上腕部にいきなり新しい筋肉が発見された、

なんてことは基本的にはあり得ません。

もちろん科学や医学の発展によって新事実はどんどん発見されていますが、

そういった事実的なもの、物質的なものというものは

この社会においてはもっとも多く注目される概念だと思います。

 

ですが、ロルフィングをしていると、そういった物質的なものだけに

拘らない変化や状態というものが出てきます。

腰が張っていて痛みがあるからそのあたりをマッサージしてみても、

痛みが取れるケースがあれば全く変わらないケースがあります。

逆もあって、痛みが強くなるケースもあります。

今日はそのアプローチをして効くかもしれないし、

明日に同じことをしてみたら全く効果がないかもしれない。

そんなことが人間のからだでは起きますし、

それは他の業界やどんな社会においても同様に起こり得ます。

 

でも、そんな解決できない、答えのないところに多くの方々は向かおうとしません。

どうしてもこの現代の資本主義、社会の構造は物質的なもの、

結果が見えるようなものに執着しがちです。

明瞭でないと、人々は前に進めないからです。

ダイエットをしたい、痩せたいという人に対しては、「◯kg痩せます!!」という

うたい文句がある手法のマーケティングをして、そしてそこに人は集まります。

結果が明瞭に、簡潔に表されている物資的なシステムに対して人々は関心を寄せ、

そしてそこに頼っていくという考えが私たちの習慣の中に根付いているからですね。

もちろんこれはぼくの中にもあるので否定しているわけでありませんし、

こういった考え方の癖に対してアプローチしていく

ビジネススタイルは価値があると思います。

 

その一方で、その物質的なものではない、流体的な、精神的なものに対して

軸を置いて物事を考えている人たちも世の中にはたくさんいます。

たとえば、「スラムダンク」で有名な井上雄彦さん。

彼のもう一つの有名な作品である「バガボンド」では、

あらすじをあらかじめ考えない状態でストーリーを紡いでいくそうです。

書いていく中で登場人物に感情移入し、彼は何を言いたいのか、

どういった行動を次にとっていくのか、そういったことを刻一刻と

丁寧に感じていきながら筆を進めていきます。

そこにはあらかじめ考えていたストーリーがある、ということはなく、

その時、その一瞬一瞬での表情や感情を一つ一つ丁寧に拾っていって、

井上雄彦さんの筆を通じて漫画の世界に表現されていきます。

漫画やストーリーを書く中ではあまり一般的ではないと言われている

この描写の仕方には多くのエネルギーと精神的なストレスがかかるのか、

バガボンドの連載が止まることもしばしばあります。

「プロフェッショナル〜仕事の流儀〜」でも、

そんな井上雄彦さんの葛藤が随所に表現されています。

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「セミナーは生き物です」なんて言い方もされるのですが、

昨日行ったセミナーでもぼくはいろんな感情や流れを感じていました。

初めて顔を合わせる人、初めて内容を聞く人、初めて来る場所、

いろんな要素が合わさって昨日、2015年4月13日のみに起こり得た

特別な時間がそこにあったわけです。

同じ内容を同じ場所で次の週に行ったとしても、

全く同じことを話すわけではありませんし、きっと伝わり方も変わってくるでしょう。

それだけ、私たちが生きているこの世界というものは変わりやすく、

そしていろんなものの影響を知らず知らずのうちに受けているのです。

 

今週は木曜まで通訳の仕事があり、2年前に通訳をさせてもらったものと

同じ内容を今回話しているのですが、伝え方も、話す内容も、伝わり方も

まるで以前とは違うことをとても感じています。

そこには、日々刻一刻と移りゆく流れ、エネルギー、時間が

大きく関与しているからですね。

 

そういった常に変わってしまう、自分ではコントロールできないものに対して

私たちがどういったことをしていけばいいかというと、

ただそこにからだを預ける、ということが大事なのかと思っています。

その要素をどうにかしようとするのではなく、

ただそこに従う。流れに乗る。

その流れに乗るためには、まずそれらを感じることができなくてはなりません。

それには訓練や経験、きっかけが必要なのですが、

それをどのように提供できるかは現時点でのぼくには明確な答えはありません。

 

ただ、そういった流れや自然な状態になっているものに対して、

人間の本能というのは「美しい」と感じることがあると思います。

海が綺麗だと感じたり、日の出が美しいと感じたりするのは、

そこに自然というものが存在しているからですね。

空に浮いている入道雲も、ぼんわり見ていると

何だか心奪われるような感覚になるかと思います。

工業エリアの光化学スモッグからはそんな心地よい感覚は得られませんよね。

漫画でも、スラムダンクの最終巻などを読んでいると、そこには

なんとも表現できない興奮や臨場感とともに、

美しさが内在されている感じがします。

 

そんな美しさを自分のからだの中で感じてもらえるように

ぼくは日々ロルフィングをさせてもらっているのですが、

友人や知人との会話の中でも、そういった自然なものや流れに

沿ったやりとりをしていると、自然と心地よさや雰囲気の良さが

見えてくるかと思いますし、

そして「美しさ」が見え隠れするかもしれません。

気を使った受け答えや、奇をてらったやりとりは

会話を盛り上げてくれるかもしれませんが、

心地よさや楽な感じは見えにくいかもしれません。

日常的に周りの人たちと関わっている中でも

そういった心地よさ、美しさを感じてもらえるような

関わり方をこれからも目指していきたいですね。

 

 

 

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